似合わない街で一人睨まれたって、そこにいさせて欲しいから一生懸命着飾って、後ろ指さされても気にしないふりをする。本当はぜんぶやり直したいのに、憧れが捨てきれなくてまだあたしはここにいます。

東京都の23区のうちの一区の某所。

そこに、75kgほどに肥えた引きこもりクソニートがいた。


そのクソニートがやっていたことは、もっぱらホモか秋葉原散策だった。

クソニートに渋谷に行く勇気はなかった。
けれど、秋葉原に行くには渋谷を通らなければならなかったから、あえてぐるぐる回る山の手線を避けて、もうひとつの地味な鉄道を理由していた。
それぐらい人の目を気にしていたのに、なぜか私は75kgの巨体を揺らしながら、お目当てのフィギュアに貪り付いていたのであった。そして、自分ではその姿を「アニメにも関心があるおにゃの子は希少だにゃん」とか思っていたのである。
今想像するだけでも鳥肌ものである。あの時の私は、酸欠にでもなって死ねばいいと思う。

私はアキバを訪れる時は、ヲタクに鉄板の黒ニーソを履いて、メルヘンピンクな服装で身を包んでいた。(※75kgです)
以前は、道行く人の視線を好意として受け取っていたが、今ならわかる。
あれは決して好意の視線ではなく、奇異の視線だ。本当に死にたい。




ここまで書いて、私を相当なポジティブ野郎と受け取られたと思うが、言い訳をさせて欲しい。
私はあの頃、中1だ。
中1なんて世の中の酸いも甘いもまだまだなにも知らない段階。言うなればまだ発展途上。第二次成長期を迎えてるかも怪しいのだ。
そんな幼い私に、日本人らしい奥ゆかしい嫌味や嘲笑を察することなんて無理な話だ。


私はそんな服装で過ごすこと、3ヶ月。


ある日のことである。
私は最初の2ヶ月ほどはアキバにしかそんな服装をしていかなかった。
本能的に渋谷でピンクなフリフリなんて着たら自殺もんだということを察知していたのだろう。
でも、三ヶ月も経てば人は変わる。
なんだか急に私に元気玉が注入されたのである。
そう、渋谷に着て行ったのだ。


ティーンな若者の集いである渋谷。
すべてのオシャレ通ぶりがいると言ってもいい。
ドン●西でもないくせに人のファッションに集団でケチをつけて、自らの自尊心を満たすようなキナ臭い連中のたまり場である。
私はそういう●治とか青●とかにいるイケイケな大学生が大嫌いだ。黙って単位とってろks。なにが新歓コンパじゃ留年しろ。


非常に話が逸れた気がするが、頑張って戻そうと思う。
つまり私はそういうお姫様系ファッションで、渋谷の1⚪︎9の前を自信満々に通ったのだった。

反応は分かり切ってると思いますがね、ええ、はい。
笑われましたよ。大学生の集団に。
ええ、はい。
だから私は大学生が嫌いです。


聞こえたんですよ、甲高い声で私を指差して




「なにあの怪物」




茶髪クソビッチがそう言ったの、ちゃんと耳の奥底の深くまで聞こえてしまったんです。










私はお家に帰って、75kgの巨体を揺らしながら涙を流しました。


悔しい、悔しい。

私のことなんてなんもわからない頭空っぽのがらんどう女に私の全てを否定されたような気がして、どうしようもなく悔しかった。

悔しいって泣きながら私はその夜ポテチを5袋食べきりました。




美味しかったです。













そうだよ、だからデブなんだよ!!!わかってるよ!!!うるせえんだどいつもこいつも!!!ポテチうめぇのが悪いんだよ!!!こんな美味いポテチ販売しやがるカ●ビー訴えるぞいつもありがとう!!!だいすきだよ!!!!